きっかけは自分の競技から、セクレタリーとして大舞台に

きっかけは自分の競技から、セクレタリーとして大舞台に

東京オリンピック、パラリンピックが終わり、早、2カ月が過ぎました。
この夏の大舞台、選手たちの活躍はもちろんのこと大会を運営する多くのスタッフやボランティアの方の力がありました。

馬術の種目でいうと、審判をはじめ、獣医、装蹄師、厩舎周りを清掃する方、各エリアの管理をする方などなど、多くの方が関わっています。
その中で、馬場競技の審判の補助的な役割をするセクレタリーというポジションがあります。
今回は、このセクレタリーで東京オリンピックに参加していた庄司 優子さんをご紹介いたします。
※セクレタリーとは馬場馬術競技の審判員の隣に座り、ジャッジペーパーに審判員の言った点数やコメントを記録する役割を担います。

庄司さんはクレイン東京の会員様で、ご自身、馬場の競技に出られています。
東京オリンピックが始まる前の7月の、とある日にお話しをお伺いしました。

IMGP2201.jpg-最初ジャッジについて学ぼうと思われたきっかけは?
自分が馬場競技に出ていて伸び悩んだ時があり、ジャッジついて学ぼうと思い、クレインの審判アカデミーに参加しました。

-これまでジャッジを学んでこられて、今日も朝乗っていらっしゃいましたが、客観的にわかったりするものですか?
はい、実際に変わりました。自分の乗りを客観的にみれるようになって、以前は前より上手くできているのに点数が変わらないのはなんでだろう。とわからなかったのですが、ジャッジの方はその時の演技を見ているので、後からジャッジペーパーを見て、あぁ、そうだよな。ここはこうだから引かれているんだな。とかここは見てくれていたんだ。と納得できるようになりました。

IMGP2191.jpg-馬場は人がジャッジしますし、見ている場所によってもポイントが変わってくると思うのですが、セクレタリーに入られてそれを感じたことはありますか?
皆さんできるだけ公平に見ようと努力されています。場所が違うと見えない部分があるのですが、見えない部分は絶対マイナスにしない。とか、同じ位置でも審判によっては、よりリズムを重視したり、姿勢を重視したりなどありますが、その競技の間はその姿勢を変えないでジャッジをしていらっしゃいます。

-アカデミーを卒業後、審判資格を取得、まずはセクレタリーとして活動されていたかと思いますが、国際競技でもセクレタリーやってみたいと思われるようになったきっかけは何だったんですか?
日本馬術連盟の3級審判員取得後、アカデミー講師だった南條先生に経験できるようにと、いろいろな競技に入れていただいていて、外国人ジャッジが入っているところにシットインという形で後ろに座らせてもらって、やりとりを見学をさせていただいて、そういった経験を積む内、少しずつオリンピックを意識するようになりました。

-オリンピックのセクレタリーを意識されるようになってから、どういう道のりでここまで来られたのですか?
英語ができたので、外国人のジャッジが来たときにセクレタリーに入らないかと誘っていただけるようになり、その頃からオリンピックのセクレタリーの候補を探すということもやっておられて、一昨年くらいに、オリンピックのセクレタリーの候補になっているけどやる気がありますかと声をかけていただけました。ただ海外へ研修に行かないといけないし、最終的に選ばれるかはわからないけれど、という条件だったのですが・・・ぜひやりたいです!と返事をしました。選ばれるといいなくらいの気持ちで。

-それでは海外の研修にも何回かいかれたのですか?
はい、3回行きました。ベルギーとオランダとオーストラリアに行ってきました。

-いずれもセクレタリーとしての参加で?
はい、そうです。オリンピックの時はセクレタリーは手書きでなくてシステムで入れるんですけれども、そのシステムを日本は導入していなくて、システムを導入している海外の競技で経験をさせてもらいました。その練習を積むために3回海外へ行きました。

-システムで入力するときはコメントなどはどうやって入れているのですか?
キーボードで入力していきます。点数とジャッジが言ったコメントを入力していきます。
ただ、フリースタイルのシートが全然違っていて、紙での記入だとやらなければいけない項目が並んでいて、演技で実施されたときにその項目を見つけて入力していくのですが、システムの場合は選手の演技の流れが予め入っています。ただ、ジャッジは知らないのでセクレタリーが次これをやります。と読み上げながら、ジャッジが出した点数とコメントを入れていきます。海外での研修は主にその練習でした。

-英語とかも独特なんですか?ジャッジならではみたいな表現など、苦労されたことはありますか?
基本、英語でのやりとりなので、それほど苦労したことは無いです。コメントが長いときはちょっと頑張って打たなければいけないというのはありますね。私が練習しに来ているのもわかっていらしゃったので、ジャッジの方も配慮してくださり、いろいろと教えて頂けてとてもやりやすかったです。

-海外の競技会、ジャッジするというシーンをセクレタリーという立場で経験されて、あぁ、これは大事なことなんだな。と思われたことはありますか?
セクレタリーとしてはポイントを絶対間違えないということが第一なんですが、いろんな国のジャッジの方がいらっしゃるので言われたことをリピートして確認をしていきました。一度、ポイントを間違えたことがあって、ジャッジの方も僕の発音が悪かったね、と言ってくださったのですが、やはりリピートでの確認は大事だなと思いました。
全体としては、ヨーロッパやオーストラリアでは馬術は一般的な競技で、お客さんもものすごく入っているので全然静かじゃなくて、わぁーっと盛り上がって演技が終わったら拍手喝采で、馬術競技の浸透が日本とは違うんだなと感じました。

-そうなんですか・・今回オリンピックはそういった雰囲気を味わえるチャンスだったのですが・・無観客になってしまって残念ですね。
そうなんですよ。ちょっと寂しい感じです。

-東京オリンピックでは馬場馬術にセクレタリーとして参加されるんですか?
馬場馬術と総合馬術の馬場にセクレタリーとして参加します。

-実際に目指していたオリンピックのセクレタリーができることになって、今どんなお気持ちですか?
率直に、とてもうれしいです。一年待ちましたし、延期になったときはもしかしたらできないかもな・・と思っていたので、二度とできない経験なので、すごくうれしいですし、楽しみです。
間違いないように頑張りたいと思います。

-今後は目指しているところはありますか?
今、審判2級を持っているので、できれば1級を目指したいなと思います。

-1級を取るためには実際に審判経験が必要になるんですよね。
そうですね、審判の経験と試験があります。今、あまり審判経験が積めていないのですが、オリンピックが終わったら少しずつ取り組みたいなと思います。

-頑張ってください。今日はありがとうございました。

庄司さん、ありがとうございました。

今月・来月は馬場馬術競技の全日本大会が開催されます。
11月13日~14日 第38回全日本ジュニア馬場馬術大会2021
12月10日~12日 第73回全日本馬場馬術大会2021 PartⅠ
日本馬術連盟サイトでライブ配信されますので、馬術競技はもちろんのこと、少しだけジャッジボックスにも注目してぜひご覧ください。

また、オリンピックの動画はNHK東京オリンピック2020サイトでご覧いただけます。
まだ馬術競技を見たことが無い方、見ていたよ、という方も、改めて馬術競技を見てみてください。

また、いつか庄司さんのご活躍をお届けできればと思います。

高橋

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