馬・乗馬業界に転職って簡単なの? 第2段

今回は、塾講師から乗馬インストラクターへ転職した松坂さんにお話を伺いました。
どちらも「教える」仕事ですが、伝え方には違いがあるようです。馬の世界に入ったきっかけや、インストラクターとして働く今の姿をお届けします。
塾講師から乗馬インストラクターへ——松坂さんに聞く「教える」仕事の違い

塾講師として働いていた松坂さんは、現在、乗馬インストラクターとして活躍しています。同じ「教える」仕事でありながら、伝え方や向き合い方には違いがあるそうです。転職のきっかけや、今の仕事で感じていることを伺いました。
―松坂さんが乗馬を始めたきっかけを教えてください。
松坂「もともとサウナ巡りが趣味で、訪れた先でクレインの体験乗馬を案内され、声をかけていただきました。せっかくなら乗ってみようと思ったのが始まりです。」
―もともと馬が特別に好きだったわけではなかったのですね。
松坂「そうですね。嫌いではありませんでしたが、特別に大好きというほどでもありませんでした。」
―乗馬を続けるうちに面白さを感じ、もっと上達したいと思うようになったのですね。
松坂「はい、そうです。」
―「上手くなりたい」という気持ちから、インストラクター養成コース※1を受講されたのですね。実際に受けてみて、どう感じましたか?
松坂「一言で言えば、とてもハードでした。自分で追い込んでいた面もありますが、当時はまだ広い場所で駈歩をした経験がありませんでした。4級ライセンスを取得した頃にコースが始まり、『広い場所で駈歩をする』と言われたときは、少し不安もありました。」
※1 インストラクター養成コースは、乗馬インストラクターを目指す方が、さまざまな知識と騎乗技術を1年間で身につけられるコースです。詳細はこちらをご覧ください。
―インストラクター養成コースで学んだことで、馬に慣れてきた面も大きかったのでしょうか。
松坂「そうですね。もし受講していなかったら、今ほど乗れていなかったと思います。コース中は1日に6鞍騎乗していました。」
―おぉ、すごい!
松坂「乗り続けたことに加えて、いろいろな馬で練習させてもらったので、騎乗にかなり慣れたと感じています。」
―インストラクター養成コースを受けた時点で、その先に仕事にしたいという思いはあったのですか?
松坂「コースを受けようと思った時には、仕事にしてみたい気持ちはありました。ただ、以前の仕事を続けるか辞めるかで迷いもありました。せっかく声をかけていただいたので、挑戦してみようと思ったんです。」
―悩んでいたのに、踏み切ったきっかけみたいなのはあったのですか?
松坂「前職とは違う環境で働いてみたいという思いがありました。また、これまでの経験を活かせるなら、それもあわせて挑戦したいと思い、選びました。」
―転職するにあたって、不安はありませんでしたか。
松坂「自分がうまくやっていけるのかという不安はありました。あまりそう見られないのですが、人見知りをするので、人間関係や職場に溶け込めるかどうかが心配でした。」

―人見知りなのですか?
松坂「そうなんです。よく『そうは見えない』と言われるのですが。」
―同じですね(笑)。仕事として取り組むうちに、少しずつ慣れていく部分もありそうですね。実際にレッスンを担当していて、その不安は少しずつ薄れてきていますか?
松坂「そうですね。仕事中は、そこまで人見知りを意識せずに対応できていると思います。ただ、レッスン後に馬場から洗い場へ戻るときなど、会員さんとあまり話せないことがあり、そこは課題だと感じています。最近は、乗った馬の特徴などを少しずつ話すようにしていて、改善してきていると思います。」
―前職はどのような職場だったのですか?人見知りでも問題なく働けていましたか?
松坂「塾講師として、小中学生に受験対策というより、普段の学習を習慣づけるための指導をしていました。教える内容が決まっていたので、その点ではやりやすかったです。」
―では、教員免許もお持ちなのですね。
松坂「はい。中高の社会科の免許を持っています。」
―中高の社会科ですね。学校でも授業ができるということですね。
松坂「そうです。教える立場という点では共通しているので、これまでの経験を活かせるのではないかと思いました。」
相手に合わせて伝える力が求められる
―実際に転職してみて、どのように感じていますか?
松坂「前職とは違った楽しさがあります。好きな馬に乗り、その魅力や乗り方を会員さんに伝えられることが、とても楽しいです。」
―前職とは、どのような違いがありますか。
松坂「前職では、決められた内容を相手に合わせて分かりやすく伝えることが中心でした。今の仕事では、伝える内容そのもの以上に、一人ひとりに合わせた対応が大切だと感じています。」
―「一人ひとりに合わせる」とは、具体的にどのようなことですか?
松坂「例えば、すでに上手に乗れている方には、さらに上達するためのポイントを伝えます。一方で、まだ思うように乗れていない方には、まず安定して乗るために必要なことを伝えます。同じ内容でも、相手の段階に合わせて伝え方を変える必要があり、そこが難しいところです。」
―目指す姿は同じでも、段階によって伝え方が変わるのですね。では、今の仕事で特に面白いと感じることは何ですか。
松坂「担当している馬に会員さんが上手に乗れたときや、自分が感じた乗り方のコツを会員さんに伝えられたときに、面白さを感じます。
また、馬にはそれぞれ個性があるので、日々乗りながら特徴を見つけていくことも楽しいです。」
―反対に、馬に乗っていて難しいと感じることはありますか?
松坂「自分自身もまだ十分に乗れているわけではないので、馬が驚いたときなど、どう対応すればよいか迷うことがあります。新馬調教も担当しており、状況に応じてどう進めるべきか悩む場面もあります。そこが今の課題です。」
―普段、馬に乗るときは誰かに見てもらっていますか。
松坂「普段はレッスンとして見てもらうことはほとんどなく、一人で乗ることが多いです。」
―分からないことがあるときは、誰かに見てもらうのもよさそうですね。教わったことは、ご自身のレッスンにも活かせると思います。会員さんへのレッスンについては、どのように感じていますか?
松坂「レッスンでは、技術をより分かりやすく噛み砕いて伝えられるようになりたいです。また、真面目に進めるだけでなく、乗っている方が自然に笑顔になれる時間もつくっていきたいと思っています。」
―話は変わりますが、転職してから時間の使い方に変化はありましたか?
松坂「はい。以前は昼から夜にかけて働いていましたが、今は朝から夕方までの勤務になり、生活リズムが大きく変わりました。
前職では帰宅が遅く、帰ったら寝るだけの日も多かったのですが、今は自分の時間ができ、早起きの習慣もついたので、以前より健康的になったと感じています。」
―休日は、どのように過ごしていますか?
松坂「最近は休んでいることが多いです。朝に馬の運動だけしに行き、その後は家でゆっくり過ごしています。気分転換したいときは、趣味のサウナ巡りをしています。」

―サウナが乗馬を始めるきっかけにもなったのですね。最後に、乗馬や仕事を通して、これから挑戦したいことを教えてください。
松坂「まずは馬場馬術を中心に取り組みたいと思っています。今年中に馬場1級ライセンスを取得することが目標です。1級ライセンスを取得できたら、障害飛越にも挑戦してみたいです。」
―障害飛越に取り組むうえでも、馬場馬術の基礎は大切ですね。馬の中心にしっかり乗り、バランスを保つ力は、障害を飛ぶときにも欠かせないと思います。
1級ライセンス取得に向けて、ぜひ頑張ってください。
松坂「ありがとうございます。」
いかがでしたでしょうか。馬の世界は特別なものに思えるかもしれませんが、決して遠い存在ではありません。
少しでも興味を持った方は、ぜひ一度、乗馬を体験してみてください。
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乗馬は、馬とのふれあいから始まり、レッスンを重ねることでさまざまな楽しみ方が広がっていきます。まずは体験乗馬で、馬と一緒に動く楽しさを感じてみませんか?
プロフィール
大学時代に乗馬を始める。卒業後、乗馬クラブクレインに入社。主に乗馬体験レッスンを担当、多くの方に乗馬や馬術、馬について広めるべく活動している。
経歴
大学馬術部にて乗馬を始める 乗馬クラブクレインで26年勤務
保有資格・認定
全国乗馬倶楽部振興協会ブリティッシュ初級指導者資格 全国乗馬倶楽部振興協会障害1級 日本馬術連盟騎乗者資格B級
所属・役職
乗馬クラブクレインインストラクター(乗馬クラブクレイン千葉富里)




