馬は車に乗るの?

今年は9月に名古屋アジア競技大会が開催されます。

馬術競技は、東京都世田谷区にある馬事公苑で行われます。アジア各国から選手と馬たちが集い、馬場馬術、総合馬術、障害馬術の競技が行われます。

さて、馬はどうやって運ばれてくるのでしょうか?

飛行機?トラック?船?

正解は、馬運車(ばうんしゃ)と呼ばれる馬専用の輸送車と飛行機などを利用して、日本にやってきます。

体重500kg前後になる馬もいます。しかも、言葉が通じない動物です。移動するにも、馬の安全や体調に配慮しながら、さまざまな準備や工夫が必要になります。

では、実際の移動シーンを見てみましょう。

皆さん、なかなかイメージがわかないと思うので、実際に馬が馬運車に乗り込むところを動画でご覧ください。

こんな感じです。

馬は飛行機にどうやって乗るの?

では、飛行機にはどのように乗るのでしょうか?

2018年トライオン世界選手権のときの動画をご覧ください。

参照:How the horses travel to the FEI WorldEquestrian Games™ | Tryon 2018

いかがでしょうか?

国際大会などで長距離を移動する競技馬は、航空機で輸送されることがあります。航空輸送では、馬の安全や健康状態に配慮しながら、輸送用の設備や取り扱い方法、必要な書類などが定められています。

この動画の馬たちは移動に慣れているので、スムーズに乗っていますが、もちろん最初からすんなり乗れる馬ばかりではありません。

段差や狭さなどを苦手とする馬もいるため、馬の様子を見ながら、落ち着いて輸送に慣らしていくことも大切です。

ちょっと脱線しますが、イギリスでトレーニングしている北島選手のInstagramで、初めて牧場から厩舎へ移動するときの様子がありましたので、ご覧いただきましょう。

足をつっぱって乗らない姿勢がかわいくてしょうがない感じですが、現場の人間たちは「早く乗ってよ」という気持ちでしょう。

やはり最後の手段はご飯!(笑)

最初の田中選手の動画とは全然違いますよね……。

馬の旅支度は?

長距離を移動する馬たちには、輸送前からさまざまな準備が行われます。

まずは、馬の肢の保護です。

輸送用ブーツなどを使用して、輸送中の肢を保護します。場合によっては、尻尾を保護するためにテールガードをつけることもあります。

また、馬をリードするための無口(むくち)にも、馬の顔が擦れるのを防ぐため、ムートンなどのカバーがついたものを使用することがあります。

そして、温度への配慮も大切です。

寒い場合には、馬着(ばちゃく)と呼ばれる馬用の衣類を着せることがあります。

準備が整ったら移動開始です!

何頭か一緒に運ぶ場合は、馬同士の組み合わせや輸送時の環境などにも配慮します。

馬によっては、隣に別の馬がいることを苦手とする場合もあります。そのため、それぞれの馬の性格や状態などを考慮して、輸送方法を工夫することがあります。

また、移動中は馬の状態を確認しながら、安全に輸送できるよう管理します。

馬運車での輸送では、車の揺れなども馬への負担になります。

ドライバーも急発進や急ブレーキ、急なハンドル操作を避けるなど、馬への負担をできるだけ少なくする運転を心がけます。

馬にもパスポートがある?

アジア大会に出場する馬たちは、国境を越えてやってきます。

国際的に移動する競技馬には、馬の個体識別や血統などを確認するためのパスポート(ナショナルパスポート)が使用されます。

馬のパスポートには、馬名や品種、毛色、血統などの情報のほか、顔や脚などの白斑、旋毛(つむじ)の位置など、馬を個体識別するための情報が記載されています。

また、ワクチン接種歴など、国際的な移動や競技に必要となる情報が記録されることもあります。

そして、馬の個体識別について、これから新しい動きもあります。

2027年4月1日以降、日本馬術連盟に新規登録する馬はマイクロチップ番号の登録が必須となり、日馬連主催競技大会(国スポを除く)に出場する馬についても、マイクロチップが挿入されていることが要件となります。

マイクロチップの番号は、馬を個体識別するための大切な情報の一つです。

先ほどご紹介しました北島選手が、イギリスからアイルランドの競技場へ移動する様子を撮影した動画にも、国境を越えるシーンでパスポートが登場します。

最後まで油断せずに・・・

目的地にたどり着くまで、馬たちの体調管理は非常に重要です。

輸送中の環境や気温、給水などにも配慮しながら、できるだけ馬が安全に過ごせるよう管理します。

そして、目的地について馬運車から降りるときも慎重に行います。

知らない場所に到着した馬がどのような反応を示すかは、馬によって異なります。到着後も馬の様子を確認しながら、厩舎まで安全に移動します。

厩舎についてからも、馬の状態を確認するなど、競技本番まで馬たちのコンディション管理は続きます。

普段見ることのない、馬たちの移動。

いかがでしたでしょうか?

馬術競技を見るときには、ぜひ競技だけでなく、選手と一緒に長い旅をしてきた馬たちにも注目してみてください。

こうして海外から日本へやってきた馬たちが、どのような環境を経て競技会場にたどり着いているのかを知ると、馬術競技がまた違った角度から楽しめるかもしれません。

アジア大会では、ぜひ馬術にも注目してみてください!

馬をもっと身近に感じてみませんか?

競技会場で華麗な演技を見せる馬たちも、そこにたどり着くまでには長い移動をしています。 馬のことを知れば知るほど、馬術競技を見る楽しみも、馬とふれあう時間の楽しさも、きっと広がっていきます。 乗馬クラブクレインでは、初めての方でも楽しめる体験乗馬をご用意しています。 まずは実際に馬とふれあい、馬の大きさや温かさ、そして一緒に動く楽しさを感じてみませんか?

高橋 砂美子
監修者

プロフィール

大学時代に乗馬を始める。卒業後、乗馬クラブクレインに入社。主に乗馬体験レッスンを担当、多くの方に乗馬や馬術、馬について広めるべく活動している。

経歴

大学馬術部にて乗馬を始める 乗馬クラブクレインで26年勤務

保有資格・認定

全国乗馬倶楽部振興協会ブリティッシュ初級指導者資格 全国乗馬倶楽部振興協会障害1級 日本馬術連盟騎乗者資格B級

所属・役職

乗馬クラブクレインインストラクター(乗馬クラブクレイン千葉富里)