総合馬術について聞いてみました!

2025年11月21日~23日にかけて兵庫県にある三木ホースランドパークにて全日本総合馬術大会2025が開催されます。総合馬術といえば2024年パリオリンピックで団体銅メダルと獲得した種目です。同一人馬で3日間3種目(馬場・クロスカントリー・障害)を競います。水泳の個人メドレーのようなイメージでしょうか。
今回、乗馬クラブクレインの総合馬術コーチを務める、根岸 淳さんに総合馬術について聞いてみました。根岸さんは初老ジャパンの監督を務め、自身も国際経験が豊富、その知識を後進に伝えています。
馬術競技は馬と選手、両方揃わないとダメ
根岸さんは2016年全日本総合選手権競技でプリティーダーリンと優勝しています。ご自身の経験から勝負に勝つということについて聞いてみました。
ー「根岸さんは2016年に全日本選手権で優勝しましたが、優勝後は何か変わりましたでしょうか?」
根岸「変わりましたね、プリティーダーリンはイギリスに繋養されていたのですが、少し足元が良くなくて日本に帰ってくることになりました。日本で現役だった自分が乗ることになり、ロンドンオリンピックの時のパートナーでもあったので、知っている馬ということもあり優勝することができました。
ちょうどその時、東京オリンピックが開催されることが決まり、日本馬術連盟の選手育成プログラムができ、会社からも許可が出たのでフランスでのトレーニングに参加できることになりました。そのタイミングでの選手権優勝は大きく影響したと思います。」
ー「2016年以前にも全日本総合選手権には出場していますが、優勝はできませんでした。勝つためには何が必要と思われますか?」
根岸「タイミングはあると思うし、やっぱり人だけじゃどうにもならないから、馬とセットなので、馬と選手のレベルでこのスポーツは順位付けがされるから、両方揃わないとダメですよね。
巡り合った馬をちゃんと乗りこなせなかった、結局実力が足りなかったんだと思います。」
ー「実力というのは、自分自身の技術的なものですか?」
根岸「もちろん、技術的なものもそうだし、勝とうという気持ちが他の選手より足りていなかった。馬とのいい出会いもあったのですが勝ちきれなかった。もっと強い気持ちの人がいたんでしょうね。」
ー「その強い気持ちはどこにつながっていくんでしょうか。」
根岸「練習でやってきたことをミスなくこなせること、できることをミスするって、結局、練習量が足りなったりとか自分と馬で作り上げてきたものが足りなかったとか、その時の競技だけじゃなくて、そこまで進んできたプロセスで積み上げてきたことが足りなかった。」

どこまで馬のことを理解できるか
ー「プリティーダーリンは根岸さんにとっても特別な馬だった。」
根岸「そうですね、信頼がおける馬です。オリンピックを一緒に経験しているから、安心感はありましたよね。」
ー「信頼できるっていうのは、どういった部分が信頼できるのでしょうか?」
根岸「例えば、クロスカントリーだったりとか、こういう問題が起きても解決する方法を、僕とこの馬だったら持っているから大丈夫と思える。馬のことを理解できているから、何かあっても一緒に解決する方法を持っている。信頼関係があったら、競技に出場しても安心です。
結局、どこまでその馬のことを理解できているのかってすごい重要だと思うんですよね。総合馬術だったら3種目あるから得意得不得意があるわけですよ。馬場は得意だけど障害はちょっと苦手とか、クロスカントリーの中の障害もこの障害がちょっと怪しいよねとか、苦手だから人が気をつけなければならない。馬の特徴を人の方がちゃんと理解してあげて、その特徴に対してこっちもいろんなことをしてサポートしてあげないといけない。
いろんな部分をお互いにカバーできるような関係を保たないとどのクラスにいっても問題は大きく出てきてしまいますね。よく馬を理解することが大切です。」
ー「そこまで馬を理解していくにはどうしたらいいのでしょうか?」
根岸「馬を見ることです。観察する。馬が何を考えているかとか、もちろん乗って感じることも必要だし、馬の行動をは目で見て感じます。馬も生き物だから1頭1頭特徴がある。ある程度乗れるようになると、この馬はこうって決めつける人もいる。こうあるべきだって決めてしまうとハマらない馬も出てくる。
でもちゃんと1頭1頭の特徴を理解して、普段の馬の扱いもそうだし、乗っている時の状況もそうだし、馬からのサインを受取ってこっちが理解してあげる。それに対して、もうちょっと上手くできるようにするために、馬に伝えてあげる。」
ー「それには、人にも経験値がないとダメですよね。」
根岸「そうですね、それはもう馬に乗るしかないですよね。人に教わるっていうのも重要だし、ただ乗っているだけだったらわからないから、こうしたらこうなるよっていう助言をもらって、それを乗りながら馬の上でやる。
まずは馬の上でバランスが取れるようにならないと、馬の上で自立したバランスが取れるようにならないと馬を感じ取ることができない。言葉が伝わるわけじゃないからできなくて当たり前だし、何で伝えるかと言ったら本当にバランスで伝えるしかないと思うんですよね。」

いくつになってもセンスがあれば上達できる
ー「上達するには何が必要なんでしょうか?」
根岸「吸収力が無いと上達はしないですね。年齢が上に上がったって吸収して行ける人は上達できる。馬術は経験のスポーツでもあるから40代、50代の選手がオリンピックで主力だったりする。柔軟性と吸収力は個人個人のレベル、その人のセンスです。
センスがないっていうのは、教えられているのに自分で身につけようとしないわけです。その場だけはやるかもしれないけれど、結局そこで良かったことを忘れちゃってなかったことになってしまう。
言われたことを確実にやっていこうという注意深さ、執念みたいなものが必要です。実行するのは選手たちです。センスと積み重ね、いかに継続していくかっていうこと、もう諦めないことですよね。
続けていたら何かしら問題は出てくる。競技とかやっていたら調子の悪い時もあるし、それを乗り越えないとそこから先には進まないから、いかに折れずにやるかが大事です。」

総合馬術観戦のポイントは?
ー「今回の総合馬術はLIVE配信もされますが、観戦のポイントはありますか?」
根岸「馬場はバランスというか、見ていて綺麗だなって感じるだけでもいいと思います。個人個人の視点で、この馬の動きが好きとか、かわいいとかでもいいと思います。
クロスカントリーは本当は会場に足を運んでいただいて、実際に目の前で見てほしいのですが・・様々な障害物があって、馬が水に飛び込んだり、坂をくだったり、あとはスピード感が他の競技とは違いますね。実際に現地で見てもらうと、ちょっとドキドキするような、迫力のある体験ができると思います。
障害は一番わかりやすいですよね。総合の場合はクロスカントリーを走った翌日、ちょっと馬に疲労感が残る中で障害を飛越していきます。その中でいかに障害を落とさず、減点なくゴールを切れるかを見てほしいです。」
11月21日(金)から兵庫県三木ホースランドパークで始まる全日本総合馬術大会2025、初老ジャパンメンバーの出場もある本大会、ぜひお近くの方は観戦にお越しください。初日は馬場馬術、二日目はクロスカントリー、三日目は障害馬術が行われます。
ライブ配信は日本馬術連盟サイトからご覧いただけます。皆さま応援をよろしくお願いいたします!
日本馬術連盟サイトhttps://www.equitation-japan.com/
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