馬×匂い①~仔馬と匂いの不思議~

乗馬を始めると、馬の仕草や反応の細やかさに驚くことが増えていきます。
普段クラブでは仔馬を見る機会はありませんが、馬という動物を理解するうえで「匂い」はとても重要なテーマです。
そして実は、人間にも“匂いのコミュニケーション”が存在します。
今回は、馬と人間の匂いの不思議な共通点をのぞいてみましょう。
仔馬は“ほぼ無臭”で生まれるという事実
野生の馬は、もともと捕食される側の動物です。生まれたばかりの仔馬は走れず、視界も安定しません。
そんな無力な時期を生き延びるために、仔馬はほとんど匂いを持たずに生まれてくるといわれています。
・匂いが薄いほど敵に見つかりにくい
・草原の中で“気配を消す”ための生存戦略
・生後すぐの命を守るための本能的な仕組み
クレインの馬たちも、もちろんこの「匂いに敏感で、気配を読む」という本能をしっかり受け継いでいます。
虫よけスプレーの匂いに敏感に反応したり、風向きで匂いを感じ取ったりと、普段から耳だけでなく鼻もフルに活用して生活しています。
母馬は匂いで「自分の子」を識別する
仔馬が無臭に近い一方で、母馬は匂いをとても大切にします。
出産直後、母馬は仔馬についた羊水の匂いを嗅ぎ取り、それを記憶するといわれています。
「この子は私の子」というサインですね。また、なめる行為はマーキングと愛情表現だといわれています。
クラブでは、馬同士が鼻を近づけて匂いを確かめる姿を見ることがありますが、それも馬にとっては大切なコミュニケーションのひとつです。
馬の嗅覚は人間と比べて約1,000倍といわれており、犬ほどではないものの、人間よりは圧倒的にさまざまな匂いを感じ取っています。
人間の赤ちゃんも“匂い”で親子の絆をつくる
実は、人間の赤ちゃんにも匂いが深く関わっています。
馬のように無臭ではありませんが、赤ちゃん特有の甘い匂いは、親子の絆を強める重要な役割を果たしています。
・生まれた直後の赤ちゃんは体臭があまりない(ほのかに甘い匂い)
・親は自分の赤ちゃんの匂いを数日で識別できる
・赤ちゃんも母親の匂いを早い段階で覚える
抱っこしたときに感じる“赤ちゃんの匂い”は、安心感や愛着を生む大切なサインなのです。
余談ですが、我が家は上が女の子、下は男の子なのですが、赤ちゃんの頃の匂いが全然違ってびっくりした記憶があります。
(女の子のほうが甘くていい香りでした(笑))
人間のフェロモンはどう働く?
フェロモンとは、同じ種の相手に無意識の反応を引き起こす化学物質のことです。
人間の場合は動物ほど明確なフェロモン行動はありませんが、次のような影響があると考えられています。
・親子の安心感や愛着形成に関わる
・家族やパートナー間の“落ち着く匂い”として働く
・無意識のうちに相手の感情や状態を読み取る手がかりになる
つまり、人間も馬も、匂いを通して相手を理解し、安心し、関係を築くという点では共通しているのです。
“匂いの感覚”を知ると、レッスンがもっと豊かになる
乗馬クラブでは出産の場面を見る機会はほとんどありませんが、馬が匂いに敏感な動物だと知っておくと、日々のレッスンでの気づきが増えるかもしれません。
馬の世界では、匂いは言葉のようなもの。その感覚を少し知っているだけで、きっと馬との距離がぐっと縮まりますね。
馬をもっと身近に感じてみませんか?
馬がどのように周囲を感じ、私たちと接しているのかを知ると、何気ない表情やしぐさにも新しい発見があります。 乗馬クラブクレインでは、初めての方でも参加できる体験乗馬を実施しています。 実際に馬のそばに立ち、ふれあい、背中に乗ってみることで、記事を読むだけでは分からない馬の魅力を感じてみませんか?
プロフィール
大学卒業後、乗馬クラブクレインに入社し、埼玉・大阪で14年間勤務。小学1年生と5年生の子どもも馬が大好きで、家族で外乗を楽しむことも。夫は馬の獣医師で、家族全員が馬と関わる生活を送っています。
経歴
大学卒業後、乗馬クラブクレイン入社 埼玉・大阪のクラブで14年間勤務 現在はクレインのコラムを執筆しつつ、フォトグラファーとしても活躍。
保有資格・認定
乗馬ライセンス障害2級 ダイビングライセンスPADI AOW 普通自動二輪免許




