【コウモリと馬は友達!?】~エコロケーションの話~

【コウモリと馬は友達!?】~エコロケーションの話~

 遠くの対象物を認識する時、人間はどのように体の機能を使うでしょうか? 普通は「目」でみて、色や、形、距離間、大きさなどを把握しますよね? だからこそ、目の錯覚等に騙されることも...。馬はどのように対象物を見ているのでしょうか? 実は、馬には「反響定位」という、スーパースキルがあるんです。

 馬は左右の耳を器用に動かし、音を聞き取る事はよく知られています。耳には沢山の筋肉があり、それらの筋肉を使い180度動かすことが可能になっています。人間でも動かす事ができる人は稀にいますが...180度もクルクルと動く人はいないですよね。それは、元々の筋肉の数の違いからなんです(人間は3つ、馬は10個も!)。この耳の動きは、馬の感情を知る目安になっていて、怒りの気持ちの時は耳を後ろに伏せたり、気になるものの方に耳を向けたりしています。また、馬はこの自在に動く耳を使い、音を立体に聞く事で、対象物の距離はもちろん、形まで把握するのです。この能力は「反響定位(はんきょうていい)」と呼ばれています。音を立体的に?というとなかなか人間には想像が付きにくいですが、映画館の3Dサウンドシステムの音の広がりのもっと凄いもの?と勝手に私は想像しています(笑)


 【反響定位】(はんきょうていい、英: echolocation)
 動物が音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知ること。 たとえばコウモリ、またイルカ・マッコウクジラなどが行う。
カタカナ表記では表記ゆれがありエコロケーションあるいはエコーロケーションとされる。(引用:ウィキペディアより)

_DSC0925.jpg
 「反響定位・エコロケーション」の能力は、コウモリやイルカが有名ですが、実は馬にも備わっていたんですね! 反響定位を利用している動物はコウモリ、イルカの他に、クジラやツバメなど1000種類以上も! ただし、それぞれの動物で方法は異なります。

○ウマ・・・・・超音波は出さず、蹄や鼻を鳴らす音を利用する。
○コウモリ・・・咽頭の筋肉を収縮させて超音波を発し、反響を利用。
○イルカ・・・・噴気孔内で作った超音波を対象物にぶつけ、反射を下顎の骨で受け止め方向などを測定する。
○アナツバメ・・短いクリック音を発声器官から出して利用。

 夜目もきかず視力の弱いコウモリなどと違い、馬は視力も比較的良い方で、人間に近く0.8くらいあるといわれています。(犬は0.3ぐらい)目も見えていてプラス立体で音を聞く事が出来たら、人間より感じている世界はもっと奥深いのかもしれません。

22429989_s.jpg
 世界の野生の馬達は、この能力をフル稼働して使っているのはもちろんですが、クラブの馬達も洗い場で、厩舎で、レッスンで障害に向かう時に...きっとエコロケーションのスキルを活用していると思います。ぜひ馬の耳や様子に注目してみてください。ちなみに...この反響定位はトレーニングをすると、なんと、人間でも習得できるそうです! もちろん超音波は出せませんが! 舌打ち等のクリック音の反射で障害物を感知する方がいるそうです。人間もまだまだ進化するのかもしれません。

written by Okanami

出典・参考
●ウィキペディア
●ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/020500061/
●書籍
ウマの百科
乗馬ライフ

メニュー