馬と人、二つの白いラクトフェリン

夏の厳しい暑さが続く季節になると、運動後や暑い日の手入れの際に見られる馬達の「白い汗」。首筋や肩のあたりに、泡のように見える汗が沢山流れます。初めて見る人は「馬は白い汗をかくの?」と驚くかもしれません。実はこの白さには、馬ならではの体の仕組みが関係しています。キーワードは「ラクトフェリン」というタンパク質です。

■ 馬は“汗で体温を下げる”珍しい動物

馬は人と同じように全身で汗をかく動物です。動物の世界では、汗をかいて体温を下げる種類は、実は多くありません。人間、馬、牛、ラクダなどの限られた動物だけが汗腺を発達させています。私たちにとても身近な犬や猫はほとんど汗をかきません。汗腺は肉球など一部にしかなく、体温調整には使われないのです。汗をかかない代わりに、犬は舌を出してハァハァと呼吸する「パンティング」、猫は毛づくろいによる気化熱で体温を下げます。同じ哺乳類でも馬や猫を比べると体温調整の方法はまったく違うのです。

馬は人と同じく「汗で体温を下げる」仕組みを持つ珍しい存在です。体が大きく、筋肉量も多い馬達は、運動時に発する熱が非常に多く、もしも、汗をかく仕組みがなければ、体温が危険なほど上昇してしまいます。さらに夏は、運動量よりも気温の高さで汗が増えることもあります。人間同様に、汗は馬が体温を下げるための大切な機能です。人間も同様に、症などの症状で「汗をかかない」症状が出たら、かなり重度の状態といわれます(汗をかかない=体温調節機能が壊れた時、体内の塩分、水分が極端に不足している時の状態を表します)

■ 白く見える理由は「ラクトフェリン」

なぜ馬の汗は白く見えるのでしょうか。そのヒントが、ラクトフェリンというタンパク質です。ラクトフェリンは馬の汗に含まれており、汗が皮膚の上でこすれたり、空気と混ざって泡立ったりすると白く見える性質があります。運動で筋肉が大きく動くと、皮脂や汗がこすれ合い、泡状になりやすくなります。その結果、首筋や肩に白い筋が浮かび上がるのです。人間の汗はほぼ透明なので、白い泡のような汗を見ると不思議に感じますが、馬にとってはごく自然な現象。むしろ、しっかり汗をかいて体温を下げようとしている証拠でもあります。白い泡ですがぐあいがわるいわけではありません。

■ 人間のラクトフェリンとの“意外な共通点”

ラクトフェリンという名前を聞いて「健康食品のCMで聞いたことがある」と感じる人が多いこと。実はその通りで、人間向けのラクトフェリンは母乳やミルクに含まれる抗菌・免疫サポート成分として知られています。ヨーグルトやサプリメントの広告でよく登場する成分です。

~人と馬 異なる2つのラクトフェリン~

  • 馬では汗のタンパク質として白さを生む成分
  • 人では健康を支える成分として注目される成分

名前は同じでも、役割が違うというのが興味深いところですね。

■ 馬も人も熱中症対策は同じ

 馬も人も同じ汗をかく生き物として、熱中症対策はほとんどおなじです。

  • こまめな給水
  • 電解質の補給
  • 日陰での休憩
  • 体を冷やす
  • しっかりと睡眠をとる

こうしたケアがとても大切です。夏は、

まだまだ残暑が続きそうです。馬も人も無理せず、しっかり体調管理をしていきましょう!

                                     
                                        Writte by Okanami

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斎藤 明日香
監修者

プロフィール

大学卒業後、乗馬クラブクレインに入社し、埼玉・大阪で14年間勤務。小学1年生と5年生の子どもも馬が大好きで、家族で外乗を楽しむことも。夫は馬の獣医師で、家族全員が馬と関わる生活を送っています。

経歴

大学卒業後、乗馬クラブクレイン入社 埼玉・大阪のクラブで14年間勤務 現在はクレインのコラムを執筆しつつ、フォトグラファーとしても活躍。

保有資格・認定

乗馬ライセンス障害2級 ダイビングライセンスPADI AOW 普通自動二輪免許