エンデュランスの世界 その② ルール編

エンデュランスの世界 その② ルール編

 知れば知るほど奥が深い「エンデュランスの世界」。今回は、そのルールを詳しく見ていきたいと思います。(エンデュランスの世界 その①は→コチラ https://www.uma-crane.com/happy-crane/2018/10/01/)


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↑今年の「全日本エンデュランス馬術大会2018」です。クレインの選手も出場しました!


 馬をパートナーとして大自然を進む競技、エンデュランス。簡単に言ってしまえば『馬と人のマラソン』のような競技です。では、まずはその特徴をおさらい。

①競技に参加する選手と馬の他に、人馬をケアする「クルー」とよばれるサポートスタッフがいる。

②コースの各区間(長距離のため区間が設けられています)を走行した後には、獣医師による馬のコンディションチェックがある。

③通常の表彰に加え「ベストコンディション賞」があり、最もコンディションの良い一頭が表彰される。(これは本当に栄誉ある賞で、一番でゴールするよりも喜びが大きいという方もいます)

④エンデュランス競技では、ウマ科ウマ属のいかなる動物も「馬」とみなす。


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 通常の競技とは少し異なる競技であるという事がわかりますね!さらに、細かいルールが沢山あり、国際馬術連盟の発表しているエンデュランス協議会規程では、5章約30ページにわたり表記されています(以下◆は協議会規程より引用)

 特に重要視されているのが「インスペクション(獣医などによる馬体検査)」です。他の馬術競技でも行われていますが、長距離を行くタフな競技であるエンデュランスでは、より一層、馬も人も安全に健康に、ということが重要視されています。

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<馬のウェルフェアのために>

◆準備段階や調教段階のいずれの時点においても、馬のウェルフェアがほかのどの要求よりも優先されなければならない。(常に馬を一番に考えるということですね)
◆馬の安全に関してはあらゆる面において、獣医師団が絶対的な統制権を有する。(どの馬に対しても、同等に対応するためには必要なことです)
◆すべてのインスペクション※と獣医検査に合格した馬に騎乗した選手だけが、最終成績リストで順位づけの対象となる。(ゴールしても、最終の検査が不合格なら失格。再度まで気を抜くことはできません)
※インスペクションでは、心拍数、呼吸機能、一般状態(体温、粘膜検査)、歩様(歩き方)などを検査します。


 走行距離は短いものでも20km、国際大会などでは160kmもの長距離を走行します!故に長距離競技ならではのルールも色々と定められています。

◆どの区間も距離40kmを超えてはならず、原則として20km以上であること。
◆160km競技では、最低5カ所の獣医関門と最終インスペクション地点を設けなければならない。
◆コースの地図は、遅くとも競技開始前までには縮尺1/5万以上の地図を選手に提供できるよう準備しなければならない。
◆コースでは、少なくとも10kmごとに選手が馬に水を補給できるようにしなければならない。

 また、他の馬術競技との大きな違いは、必ずしも騎乗していなくでも良いというところです。これは完全に他の競技と違いますよね。

◆選手はコース内で自分の馬を曳き馬するか、馬の後を追って進むことができる。
◆毎日のスタートラインとフィニッシュラインは、騎乗して通過しなければならない。(ここだけは、曳き馬など歩いての通過はだめということですね)

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 タイムを競う競技ではありますが、馬の体調を一番に考えられているため、馬の体調が悪くなってしまうと失格に...。コースも整備された競技場ではありません。大自然の中、山や川を越えて進むということは、時には、雨や風の中を進むということでもあります。馬を励まし、労わり、ある時は自分も一緒に歩いたり...。様々なドラマが生まれる競技です。そして、長時間、長距離の中、騎乗する選手のみではなく、クルー達とのチームワークも結果大きく左右するはずです。


参加する人はもちろん、観戦する人にも見所が沢山の「エンデュランス競技」。これからますます注目されそうですね!

引用: http://www.equitation-japan.com/library/library_regulation/fei_endurance7.pdf
(国際馬術連盟 エンデュランス協議会規程)

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