馬は道路交通法上「軽車両」って本当?公道でのルールと注意点を解説

「馬って道路を走ってもいいの?」
馬にも交通ルールが存在します。道路交通法で馬は「軽車両」として扱われています。
自転車と同じ交通ルールが適用される対象ということです。
「馬が自転車と同じ扱いなんて想像もしていなかった」そう思われた方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな馬と交通ルールの関係を分かりやすくご紹介します。
読み終えたころには、馬という生き物が少し身近に感じられるかもしれません。

馬は道路交通法で「軽車両」に分類される

「軽車両」と聞くと、多くの人がまず自転車を思い浮かべるのではないでしょうか。
実は、この軽車両に馬も含まれます。
ここから軽車両の種類と馬が軽車両とされる理由を見ていきましょう。
軽車両とはどんな乗り物?

軽車両とは、エンジンやモーターは使わず、自転車や荷車のように人や動物の力で動く車のことです。
具体的には、自転車、荷車、三輪車、リヤカー、人力車などが軽車両にあたります。
これらの軽車両には、運転免許は不要です。
とはいえ、自動車と同じように交通ルールが適用される対象になります。
ルールを破ってしまうと、交通違反として扱われることもあるので注意が必要です。
「免許がいらないなら、誰でも運転できるんだ」と思うかもしれませんが、ルールを守る責任は変わらないということですね。
馬が軽車両に含まれる根拠(道路交通法第2条)

「馬も軽車両に入るの?」と思われるかもしれません。
道路交通法第2条に、軽車両の定義として「そりや牛馬を含む」という一文があります。
つまり、法律上は馬も自転車や荷車と同じ軽車両に含まれているのです。
牛や雪の上を走るそりも同じ扱いになるというのは、少し驚きですね。
普段何気なく見ている「自転車専用」の標識、この中に馬も含まれている可能性があると考えると面白く感じませんか?
出典:道路交通法第2条第1項第11号、e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
馬で公道を走るときのルール

自転車と同じ扱いになる馬ですが、実際にどのようなルールが定められているのでしょうか。
ここでは、駐停車やスピード、曳き馬(引き馬)のときの扱いについて、具体的に見ていきましょう。
駐停車のルール
馬にも駐停車禁止の場所が決められています。
例えば、交差点やその端から5m以内、横断歩道やその前後5m以内、坂の頂上付近やトンネルの中など、駐停車が禁止されている場所は決まっています。
こうした場所に馬をつないでおくと、軽車両の駐停車に関するルールに従っていないと違法駐車とみなされてしまうことがあるのです。「馬をつないでおくだけなのに?」と驚く方もいるかもしれません。
自転車を路上に置きっぱなしにすると駐輪違反になることがあるのと、同じ考え方だと捉えると分かりやすいですね。
出典:道路交通法第44条、e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
スピードに関するルール
馬にもスピードに関するルールが存在します。
スピードを出しすぎると、スピード違反になることがあるのです。
軽車両は一般道路で60km/h程度までとされており、馬もこの基準の対象になります。
もっとも、実際に馬でそこまでのスピードを出す場面は多くありません。
とはいえ、「軽車両にもスピード制限がある」という事実自体が、なかなか知られていないポイントではないでしょうか。
出典:馬は道路交通法では軽車両!?【飲酒運転はNG】
https://nagaoka99.com/car-life-plus/horse-car/
曳き馬(引き馬)のときは歩行者扱い
曳き馬(引き馬)とは、人が馬に乗らず、引きながら一緒に歩くことです。
自転車を押して歩く場合は歩行者として扱われますが、馬の場合はどうなのでしょうか。
この点、専門家の間でも解釈が分かれているようです。歩行者として扱われるという見方がある一方、権威ある法律解説書では「引いて歩いていても軽車両の運転にあたる」という見解も示されています。
同じ「馬と一緒に道を歩く」という行為でも、解釈が一つに定まっていないというのは意外ですね。
馬に乗るのに免許は必要?
「免許がないと乗れないんじゃないの?」そう思う方もいるでしょう。
先ほどご紹介したように、軽車両には運転免許が不要です。
馬もこの軽車両に含まれるため、法律上、免許を取得しなくても乗ることができます。
「え、本当に?」と驚かれる方も多いのではないでしょうか。
ただし、免許が不要だからといって、誰でもすぐに上手に乗れるわけではありません。
馬は生き物なので、自転車のように乗ればすぐ動くわけではなく、コミュニケーションの取り方や乗り方にはコツが必要です。
そのため、実際に馬に乗る際は、インストラクターの指導のもとで基本を学ぶのが安心です。
免許制度がない代わりに、正しい知識と練習こそが安全に楽しむための第一歩と言えます。
特に注意したい違反行為
軽車両である馬にも、自転車と同じように守るべき交通ルールがあります。
ここでは、特に知っておきたい違反行為について見ていきましょう。
信号無視・ながら運転・傘さし乗馬
自転車と同様、以下のような行為も注意が必要です。
・手放し運転
・携帯電話を使用しながらの運転
・信号無視
・傘をさしながらの不安定な乗り方
このうち、信号無視や手放し運転は、道路交通法の一般的なルールとして軽車両全般に適用されます。
一方、ながら運転や傘さし運転の禁止は、各都道府県の公安委員会規則で定められているもので、多くは自転車やバイクを対象にしており、馬にもそのまま適用されるかどうかは明確ではありません。
とはいえ、視界を妨げたり、とっさの対応が遅れたりする危険性があることに変わりはないため、自転車に乗るときと同じ意識で注意しておくと安心です。
普段、自転車に乗るときに気をつけているルールとかなり近い内容です。
こう考えると「馬に乗る」という行為が、思っていたよりもずっと身近な交通ルールの延長線上にあるように感じられませんか?
出典:JAF Mate Online「自転車の傘差し運転」解説(道路交通法第71条第6号の説明)
https://jafmate.jp/safety/traffic_rules_quiz_20260524.html
馬に乗るときに必要とされる装備
軽車両として道路を通行する馬には、装備に関するルールもあります。
ここでは、どのような装備が必要とされているのかを見ていきましょう。
馬にも、自転車のブレーキのような役割を持つ道具の装着が求められています。
具体的には、ハミと手綱という馬をコントロールするための制動装置と、鞍という安全に乗るための装備を備えなければならないとされています。
「ハミ」とは、馬の口に取り付ける金属製の道具のことです。
手綱を通じて、馬に進む方向やスピードを伝える役割を持っています。
「鞍」は、人が馬の背に乗るための座具のことで、乗馬体験でもおなじみの道具ですね。
普段何気なく使われているこれらの道具が、実は法律上も「安全のために必要な装備」として位置づけられている、というのは興味深いポイントです。
実際に乗馬体験に行くと、こうした装備を身近に見て触れることができます。
出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準」第70条(制動装置)PDF
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/hoankijyun/hoan_070_00.pdf
実際に馬で公道を走ることはあるの?
ここまで、馬が軽車両として守るべきルールを見てきました。
では、実際に馬に乗って公道を走る場面はあるのでしょうか。現実的には、それほど多くありません。
都会では車の通行量が多く、雨の日はコンクリートやマンホールの上で蹄鉄が滑ってしまうこともあります。
また、馬が排泄をした場合の処理という課題もあります。
こうした事情からも自転車のように誰もが日常的に一般道を馬に乗って走るというのは、特に日本では現実的ではないようです。
とはいえ、法律上のルールが整っているということは、馬と道路が決して無関係ではないということの証でもあります。
普段は乗馬クラブや専用の施設で楽しむことが多い乗馬ですが、こうした背景を知るとまた違った視点で馬という存在を見られるかもしれません。
馬をもっと知りたくなったら、乗馬体験でその魅力に触れてみませんか

ここまで、馬と交通ルールの意外な関係を見てきました。
「軽車両」として自転車と同じ扱いを受けていること、免許は不要でも守るべきルールがあること、そしてハミや手綱、鞍といった装備の意味。
普段何気なく見ていた馬という存在が、少し違って見えてきたのではないでしょうか。
法律の話だけでは分からない、馬の温もりや息づかい、動くときのリズム。
そうしたものは、実際に馬と触れ合ってみることで、はじめて感じられるものかもしれません。
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