【乗馬界の長距離マラソン!エンデュランスの世界①】

【乗馬界の長距離マラソン!エンデュランスの世界①】


  馬術競技のジャンルとして、障害飛越競技や馬場馬術競技などがありますが、今回は、近年注目を集めている『エンデュランス競技』をご紹介したいと思います。

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画像:http://hea-gr.jp/index.html エンデュランスチャレンジ2017


  『エンデュランス』という言葉は聞きなれない方も多いかもしれませんが、乗馬の世界での『エンデュランス』は、例えるならば『馬をパートナーに行うマラソン競技』です。人間のマラソン競技同様に、持久力が問われる競技で、1982年にFEI(国際馬術連盟)が馬術競技として認定し、日本では2000年から全日本大会が実施され、競技人口大会開催数も増加してきている、人気競技です。

"エンデュランス競技とは、コース、距離、天候、地形、時間といった要素が絡むエンデュランス・コースの走行において、馬のスタミナや競技への参加適性を安全に管理できる選手の能力を競う競技である (略) 最も重要な責務とは、馬に対する選手のいたわりや思慮深い態度と共に、個々のスキルを生かして馬の健康とウェルフェアを確実に守ることにある"

(参照: 国際馬術連盟 エンデュランス協議会規程 第800条 通則)

この規程を見ただけでも興味深くありませんか!?速さや技術のみを競うのではなく、何よりも重要視されているのが「馬」をいたわり、守ること!エンデュランスは「限りない馬愛」に溢れた競技なんです!

 では、幾つかエンデュランス競技の特徴をチェックしてみましょう。

①競技に参加する選手と馬の他に、人馬をケアする「クルー」とよばれるサポートスタッフがいる。
②コースはレグ(フェイズ)とよばれるいくつかの区間に分けられており、各区間を走行した後には獣医師による馬のコンディションチェック(ベットチェック)が行われる。
③通常の表彰に加え「ベストコンディション賞」の表彰があり、最もコンディションの良い一頭が表彰される(選手やクルーにとって最も名誉な賞!)
④エンデュランス競技では、ウマ科ウマ属のいかなる動物も「馬」とみなす。

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写真は、2018年9月23日北海道で開催された『全日本エンデュランス馬術大会』の様子です。この大会で、120km競技に出場した、山本夏輝選手&ヴァリスM(東武乗馬クラブ&クレイン)が、3位入賞に加え、ベストコンディション賞を受賞いたしました!

  最も大きなポイントは、各区間走行後のベットチェック(獣医師による検査)で、このチェックで不合格の場合はその時点で失格となってしまします。チェック項目は馬の心拍数、体温、代謝、歩様(歩き方)、けがや脱水の有無等、馬の健康をなによりも大切に考えている競技だという事が良くわかります!


 世界各地で開催されているエンデュランスですが、中でも、アメリカで開催の160kmを24時間で走行する世界で最も困難なエンデュランスライド、通称「Tevis Cup Ride」正式名称「Western States Ride」)がとても有名で、毎年7月下旬から8月の間で、夜空の月が満月となって輝く土曜日に、開催されています。

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画像:http://www.arabianhorseranch.jp/about/


  自然の美しさや厳しさを存分に味わい、時には馬を降り、共に歩きながら・・・。馬や仲間と共に大自然を進む競技「エンデュランス」。知れば知るほど、奥が深い競技ですね!次回はもう少し詳しくルール等をご説明したいと思います。


Written by Okanami

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