Eventing(総合馬術)のプロフェッショナルに聞いてみました!

Eventing(総合馬術)のプロフェッショナルに聞いてみました!

こんにちは、高橋です。

普段はイギリスで北島選手や田中選手のトレーナーを務めてくださっているアンジェラ・タッカー氏が5月全日本総合ヤング競技の際に来日しました。
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平永選手にリボンを渡すアンジェラさん

アンジェラさんはEventing(総合馬術)では、最難度の4スター競技の審判を務められるくらいすごい方です。
Badminton Horse Trials2016の一場面

縁があって、今回いろいろとお話しをお伺いすることができました。
(もちろん通訳していただいて・・ありがとうございました。)

ーつい先日行われたBadminton Horse Trialsでは審判で参加されていましたが、どのようなことをされていたのでしょうか?

「主に、クロスカントリーコースのチェック、コースがレベルにあっているかどうかを見ます。
それから、ホースインスペクション立ち合い、ライダーミーティング、もちろん馬場の日は審判もしますし、最終日は障害コースのチェックをします。
あっ、表彰も大事な役割ですよ(笑)
競技全般を通じて、馬とライダーが安全に走行できるか?公正にジャッジできる環境か?馬のWelfareを考えます。」

―Badminton Horse TrialsはEventing(総合馬術)競技の中では一番難しいクラスの競技。クロスカントリーコースの障害も難しく、中には失敗する選手もいましたが、やはりステップアップしていくためにはチャレンジしていくことが必要なのでしょうか?

「どんな障害でもそうですが、まず大事なことは、馬がちゃんと経験があること、そして、馬にかかわる人間が馬に対して、きちんと尊敬の念を持っていることは非常に重要です。
もちろん、ライダーはいつでも勝ちたいと思うでしょうが、それ以前に馬がライダーを信頼し、そして、ライダーが自分の馬を理解し、ちゃんとトレーニングをしていることが必要です。
競技では、馬が自然界でやらないようなことをやらせますから、馬との信頼関係が成り立っていなければなりません。

Badminton Horse Trialsは4*の競技ですから、コースも難しく、芸術に近い障害もあります。どれだけ普段のトレーニングの成果を発揮できるか、常に、正しい決断をして、決断したら前向きに障害に向かう。そういった精神面も大切です。

コースデザイナーはライダーがコースを走り切れるように考えて作ります。
TOPレベルの障害なので上手くいかなかい時もあるかもしれませんが、どんな障害でも基本は障害を飛ぶラインに乗っているか、障害を飛ぶポイントに馬をきちんとつれていくことができるか、です。
障害はこれらの正確さを試します。難しい障害でも、きちんとラインに乗せて、馬の勢いを保ちながら、きちんとポイントで踏み切れば飛ぶことができます。」

―少し話は変わりますが、アンジェラさんが馬を見るときは、どのようなポイントを見ますか?

「すごく大事なことは、馬が人に対して協力的であることです。聡明だけどやる気がなければトレーニングができません。才能が少なくてもやる気のある馬を選びます。
やる気があって、身体能力が優れているような馬は、ダイヤモンドの原石のようなものです。もちろん、そんな馬でもトレーニングの過程で、体調を崩してしまう馬もいます。
だから、ホースマンシップ、馬のWelfare(福祉)は大切です。」

―イギリスでトレーニングをしている、北島選手、田中選手はアンジェラさんから見てどんな選手ですか?

「いい選手です。彼らはイギリス国内の競技、どこに連れて行っても、日本を代表する選手として紹介できます。周囲の方からも日本の選手は素晴らしいと褒められることがあります。馬に対する姿勢、競技に対する姿勢が伝わっているのではないでしょうか。
上手く行かないときもありますが、彼らは決して馬のせいにはしません。

トレーニングに対する姿勢は、すごく真面目です。
言葉の壁はないけれど、シャイだから自分から意見を言うことが少ない。もっと言うことが必要で、その方が競技の時により良いパフォーマンスができると思います。」

―イギリスと日本の競技を見て、日本にあったら良いと思うことがありますか?

「国内だけじゃなくて、海外でも競技を経験することが必要です。競技を運営する役員、ライダーともに、海外で経験してきて、得たものを日本にバックすることが発展につながると思います。

東京オリンピックはよい機会ではないでしょうか。
1932年に日本の西選手が金メダルを取りました。日本国内にも昔から馬術はありました。
けど、歴史的な背景もあり、なかなか普及・浸透することが難しかった。
馬とのスポーツが、より多くの人に認識してもらえる、良い機会です。

日本人は真面目で労働精神が高い、一度決めたら、きっとやり遂げることができると思います。私もできるところは協力していきます。」

最後は、心強い言葉をいただきました。
ありがとうございます。

このブログでも、少しずつ"馬とのスポーツ"を伝えていきます。

高橋

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