装蹄師とは?馬の蹄(ひづめ)と蹄鉄の役割・装蹄の仕事内容をわかりやすく解説

「蹄なくして馬なし」馬の世界には、蹄の大切さを表すこんな格言があります。
サラブレッドの蹄は、約500kgの体重を支え、人を乗せて時速60km以上で走る馬体を足元から支えています。その蹄を整え、必要に応じて蹄鉄を装着・調整する専門職が「装蹄師(そうていし)」です。
この記事では、装蹄とは何か、装蹄師の仕事内容や資格取得までの流れについて、2017年に国際大会へ出場した伊藤装蹄師へのインタビューを交えながら、わかりやすく解説します。

装蹄(そうてい)とは?
装蹄とは、馬の蹄(ひづめ)に蹄鉄を装着する作業のことです。
野生の馬は、草原を移動するなかで伸びた蹄が自然にすり減り、蹄の成長と摩耗のバランスが保たれていました。しかし、人に飼育される馬は、生活環境や運動内容によって蹄の成長と摩耗のバランスが崩れることがあります。
そこで、蹄を摩耗や外傷から守り、馬の足元を支えるために使用されるのが「蹄鉄(ていてつ)」です。人間の靴やスポーツシューズに例えられることもあります。
装蹄の主な目的は、次の3つです。
①蹄の保護:摩耗や外傷から蹄を守る
②治療・改善:蹄や肢の病気、変形などの改善を支える
③パフォーマンスの向上:馬の用途や運動に合わせて、能力を発揮しやすい状態に整える
サラブレッドが全力で疾走すると、1つの蹄には約1.5トンもの荷重がかかるとされています。馬の体を足元から支える装蹄は、健康の維持やけがの予防、パフォーマンスの発揮に関わる重要な作業です。

装蹄師の仕事内容や装蹄の流れ
装蹄は、一般的に次のような工程で行われます。
①除鉄(じょてつ):現在ついている蹄鉄を外す
②削蹄(さくてい):伸びた蹄を切ったり削ったりして、形を整える
③修正・適合:熱した鉄を叩き、その馬の蹄の形に合うように蹄鉄を整える
④釘つけ・釘締め:釘を使って蹄鉄を蹄に固定する
蹄鉄を釘で固定することに驚く方もいるかもしれませんが、釘は蹄のうち、痛みを感じない部分に打ちます。人間の爪の伸びた部分に処置をするイメージに近く、馬が痛みを感じることはありません。
装蹄師は、馬それぞれの蹄の大きさや形、歩き方の癖、年齢、競技種目などを確認し、その馬に適した状態になるように蹄鉄を整えます。
馬の蹄を守り、健康や運動を足元から支える、いわば「馬のための靴職人」です。
伊藤装蹄師に聞いてみました、装蹄師インタビュー
2017年に国際大会へ出場した伊藤装蹄師に、装蹄の仕事で大切にしていることや、やりがいについて聞きました。
Q:装蹄で一番注意することは?
「人馬の安全第一。」
装蹄では、馬の動きや道具の取り扱いなど、一つ間違えると人や馬のけがにつながることがあります。
そのため、常に人馬の安全を最優先に作業を行っています。
Q:この仕事のやりがいは?
「馬が少しでも長い期間、健康に働けること。」
装蹄によって馬の足元を整えることは、体のバランスや健康を支えることにもつながります。
その積み重ねが、馬が元気に長く活躍できることにつながるのが、この仕事のやりがいです。
Q:日々のケアで、馬と接する方へのアドバイスは?
「馬の性質を正しく理解し、向き合っていけば、馬との楽しい時間を過ごせると思います。」
馬は一頭一頭性格や個性が異なります。
その性質を理解して向き合うことが、信頼関係を築き、馬と楽しい時間を過ごすことにつながります。
装蹄師になるには?
装蹄師になるためには、公益社団法人日本装削蹄協会が認定する資格を取得する必要があります。
装蹄教育センターで約1年間の講習を受け、認定試験や資格審査を経ることで、認定装蹄師としてのキャリアをスタートできます。
また、日本では「全国装蹄競技大会」が開催されており、最優秀者には農林水産大臣賞が授与されます。装蹄師は、生産牧場や競馬場、トレーニングセンター、乗馬クラブなど、さまざまな場所で活躍しています。
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